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大人の発達障害の従業員へ職場での対応・対処法(後編)【事業主の体験談】

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こちらは後編になります。

前編はこちら

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問題意識を共有する

まずは本人と、今何ができて、何ができていないかを確認をすることにしました。

また会社として、どういう点が困っているか、それを改善するためにどうしたらいいか話し合いました。

本人にどうしたいか、どうしたら改善できると思うかと意見を聞いたところ、今まで以上に家で復習する、という答えが返ってきたので、それは引き続きやってもらうこととし、もう一歩踏み込んだ案として、下記のことをやってみることにしました。

目につくところにメモを貼る

ネットで効果的と書いてあった「ミスした点、注意する点を目につくところに貼って、意識化する」という方法をやってみることにしました。

これは、最初のうちは効果があり、貼りだしたメモを目にするたびに注意していたようですが、メモが貼ってあることが日常化してしまってからは効果が薄くなってしまいました。

苦手なことを理解する

感情を理解するのが難しいため、具体例を出しながら、こういうとき人はどういう感情の推移をするかということを順を追って説明するようにしました。

例えば、誰かがしゃべっているときに割り込まれたらどんな気持ちになるか、一生懸命やったことを笑われたらどんな気持ちになるか、同じことを何度もやらされたらどんな気持ちになるか、など。

私たちからしたら当たり前の感情だと思いますが、彼女にひとつひとつ説明しているとき、「そんなこと初めて教えてもらった。今まで誰も教えてくれなかった。だからみんなに急に無視されるようになったんだ…」とかなり驚いていたので、私もびっくりしたことを覚えています。

抽象的な注意を避け、具体的な指示を出す

「〇〇の準備して」などというのではなく「AとBを持ってきて」というような、なるべく具体的な指示をするようにしました。

ひとつのことが終わってから、次の指示を出す

マルチタスクは苦手なので、なるべくひとつが終わってからもうひとつの指示を出すように努めました。

忙しくてずっと付いていられないときには、紙に指示を書いて渡すようにし、やるべき順番がわかるようにしました。

電話応対のマニュアルを作る

電話などの聞き取りは難しいようでしたが、慣れていかないと今後の生活にも支障があるだろうと思い、少しずつ練習してもらうようにしました。

その際、フリーズしなくて済むようにマニュアルを作り、それを見ながら簡単な応対をしてもらうようにしました。

例えば、聞き取れなかったら「申し訳ありません、もう一度よろしいですか?」、それでもダメなら「担当者に代わりますのでしばらくお待ちください」と伝える、など。

課題を渡す

計画的に勉強するということが困難なので、毎日、小さな課題を渡すようにしました。

始めは本人より「毎日でもいいから課題を出して欲しい」との希望がありましたが、これが継続すると精神的負担が増えてきたようなので、途中から本人と相談しながら課題を渡す日を減らしていくようにしました。

毎日提出される課題のチェックも結構大変なので、それは私にもちょうどよかったです(;^_^A

全員でフォローするようにする

他の社員の不満を減らすために、教育係を増やし、この問題を社内全体のこととして全員で解決に努めるようにしました。

新しい人員を確保することも視野に入れる

それでも解決しなかった場合、時期を決めて新しい人員を増やすことにする、と公言したことで、この状況がずっと続くのかという不安を軽くすることができたと思います。

対話を心がける

本人はもちろん、他の従業員ともひとりひとり面談を行ったり、仕事終わりに話したりして、コミュニケーションを取るように心がけました。

普段、他の人がいるときには言えないような本音が、対談になるとポロっと出たりするので、それをなるべく大切にするようにしました。



上記のような改善策を行い始めた結果、ただ漠然と叱責し、指導するということを繰り繰り返してきた時期とは、少しずつではありますが、変化してきました。

徐々に表れてきた良い変化

彼女の出来ない点だけでなく、良い点に目を向けることで、私や周囲のとらえ方も変わってきた気がします。

彼女は、失敗をあまり気にしないがゆえ、とてもポジティブです。

それは良い点でもあります。

また、度重なる指導により、本人も教育係も自信を失いかけていたので、出来たところを積極的にほめるようにしました。

私も注意するよりは、ほめる方が気が楽ですし、精神衛生的にもよい気がしました。

そうして1つ出来てほめられると、少しずつ自信が付き、徐々にミスも減ってきました。

結果的に、注意を連発して萎縮させるよりも、良い点を伸ばす方が最終的には早く上達するということがわかりました。

これは子育てなどにも言えることかもしれませんが、どうしても注意が先に立ってしまい、感情的になってしまうことがあります。

それは自分にとっても相手にとってもよくないとわかっていても、度重なると、つい怒ってしまいがちです。

そんなときは一度トイレなどで席を外し、頭を冷やすようにしました。

大事なのは、相手を感情で支配することではなく、仕事を正確にこなせるようになってもらうこと、他の従業員の労働環境を悪化させないこと、だと言い聞かせました。

そして、感情を落ち着かせてから、つとめて冷静に誤りを指摘し、正しい方法を教えるようにしました。

場合によっては、言いたいことを一日寝かせることもありました。

私もだいぶストレスを抱えましたが、それは本人も、他の従業員も同じだったろうと思います。



そして今、彼女は、未熟ではありますが、他の人と変わらないような仕事をこなせるようになってきました。

何よりも違うのは、明るくなり、自信が満ち溢れてきたということです。

不思議なもので、自分の仕事に自信をもって接していると、お客さんはそれを感じ、信頼してくれるようになります。

トラブルも少しずつ減り、彼女のファンも増え、会社のみんなの絆も、以前より深くなった気がしています。

今のメンバーで長く働いていきたいな、と思える職場になりました。

今まで、多くの人を面接したり、教育したりしてきましたが、彼女のような明らかに発達障害が疑われるケースは初めてでした。

正直、”常識”と言われる部分からすべて教えていくのは非常に疲弊する作業ではありましたが、他の従業員の助けもあり、何とかなりました。

もちろん今でも、苦手なことは多く、他の人の助けが必要な場面もありますが、その分、他のところで彼女が頑張っていることをみんなもわかっているし、認めているから回っているのだと思います。

ただし、今回はよいメンバーに恵まれて乗り越えることができましたが、同じような人がもう一人入ってきたら、正直、どうなるかわかりません。。

ギリギリの人数で回している中小企業だと、細かいケアは難しいと思います。

社会に溶け込めず、就職をあきらめてしまうケースもあると聞きます。

大人になってからだと、本人も対応が大変だし、与えられた時間が短すぎると思いました。

彼女の場合も、親が小さいころから発達障害だと思っていたのであれば、それを教育現場でも早くから見抜いて、社会生活に困らないように指導したり、発達障害の人に対するケアや相談場所をもっと増やしたり、雇った会社側への指導要領やフォローを行ったりなど、社会全体で取り組んでいく必要があると感じました。

前編でも少し触れましたが、彼女が5月という中途半端な時期に面接に来た理由を、最近になって話してくれました。

学校を卒業してすぐ、ひとつの会社に就職したが、先輩たちに「仕事を教えても一向に覚えないので、この人にはもう教えたくない、この人が辞めないなら私たちが辞める」と言われ、仲間はずれにされ、事業主からも離職を勧められて、仕事をあきらめたこと。

しばらくニートをしていたが、親から言われてもう一度だけ再就職をしようと思い、5月に面接を受けたものの、これがうまくいかなかったら資格とは関係ない仕事に就こうと思っていたこと。

履歴書にそれを書いていなかったのはいけなかったと思いますが、ここで食い止められてよかったと思っています。



彼女は今、持ち前のポジティブさで毎日頑張っており、仕事が楽しいと言ってくれています。

私もあのとき頑張ってよかったと思えますし、これからも末永く頑張って欲しいと願っています。



最初の頃は、人の上に立つことの難しさ、怒らず指導することのの難しさ、わかってもらえないもどかしさと虚しさで、自分の職場なのに行きたくない気持ちで毎日憂鬱でした。

でも、今は、職場に笑顔があふれ、みんな仲良くなり、私も職場に行くことが苦にならなくなりました。

それは、彼女の明るさとポジティブさのおかげでもあり、それを受け入れて支えてくれる他の社員のおかげでもあります。

仕事は自分の力だけで成り立つものではありません。

社員あってのものです。

だから、発達障害の従業員を雇った事業主さん、大切な社員のために、少しだけ歩み寄ってみてはいかがでしょうか。

もちろん、私のケースもたまたまうまくいっただけで、離職をすすめた会社のようになっていた可能性も大いにあります。

でもここで努力した結果は、長い目で見れば、会社としてプラスになったと思っています。

会社の雰囲気もずいぶんよくなり、みんなで問題を共有したことで、自ら改善策を提案してきたり、自分で考えて動いてくれるようにもなってくれました。

最初の1年くらいは大変かもしれませんが、頑張ってみる価値は十分にあるかと思います。

視点を変えれば、思ってもみない側面から会社にとって良い影響を与えてくれる存在になるかもしれませんよ(*'▽')

その後のお話はこちら。 www.yurukiri.com

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